中古住宅の価値は落ち、中古住宅の履歴は完全に消されて販売される。
40年前に建設された煎餅(せんべい)屋に絵描きが住んでいます。煎餅屋には煎餅焼き機が備え付けられており、絵描きはプロ仕様の煎餅焼き機で煎餅を焼いて友人を招待してパーティーを楽しんでいます。初代の住人がガスの煎餅焼き機を設置し、二代目の住人が太陽エネルギーを集約して焼く煎餅焼き機を導入しました。三代目の住人は、火力が十分強くできなくなったので薄焼き煎餅を極めたようです。このような記録がしっかりとこの住宅には残されており、先の住人の物語りを後の住人が知ることができるのです。この仕組みが物件の価値を維持しています。この絵描きは四代目です。伝えられる煎餅焼き機を修理しつつ使いながらも、新しいことをしなければならない気にさせる不思議な住居を絵にして残すことにしました。季節ごとにかわる住居のかたちを絵に残し、住居の変わりようを見事に描き続けています。自分も歴史の一部になれたんだという気分は最上級のものです。このように、物語りを楽しむことができる住居を販売するメーカーが登場してから、一代限りで住居を壊すことはほとんどなくなったのです。
住宅にまつわる物語を楽しめる。中古住宅に楽しく長く住める。
中古住宅長期利用。