ライフスタイルデザインとは about LifeStyle

1992年、先進国が「地球サミット」で約束した持続可能な社会の構築......残念ながら、現実は理想から大きく乖離(かいり)を続けています。そして、このままでは2030年頃には、現在の社会基盤を維持することすら難しくなるかもしれません。
では、私たちは何もしてこなかったのでしょうか? いいえ、例えば日本では、世界最高レベルのエコ・テクノロジーを次々に開発し市場に投入してきました。生活者も極めて高い環境意識を持っています。でも環境劣化は続いているのです。
今こそ、新しいビジネスシステム構築に向けて大きく舵(かじ)を切らなければならないときのようです。ではどこへ向かって舵を切らなければならないのでしょうか。どうやら、それは「新しい暮らしのかたち」、そしてそれを構成する「ライフスタイル」を見つけることにあるようです。今まではものがたくさんあれば豊かさが実現できると思い込み、ものを市場に溢(あふ)れさせ、結果として環境劣化が加速しました。今望まれているのは、「人間らしく生きるためには豊かさが必要」という考え方で、その豊かさを担保するために必要な「もの」を市場に投入することなのです。2030年の厳しい環境制約のなかでも、心豊かに生きるとはどういうことなのか、そのためには、どのようなライフスタイルを提案できるのかが問われる時代なのです。しかし残念ながら、従来の延長(フォアキャスティング)ではなかなか難しいようです。それは発散型のライフスタイル提案になってしまうからです。すでに、世界の人たちが日本人と同じ生活をするなら地球が2.4個、アメリカ人と同じ生活をするなら5.6個必要と言われています。もちろん、地球は1つしかありません。1つの地球という前提でライフスタイルを考えてみること(バックキャスティング)がとても重要なのです。